【専門家監修】マットレスおすすめ3選|腰痛にならないための正しい選び方も解説
監修者
寝具専門店「ふじはし」店主
- 藤橋 徹
マットレス、枕、ふとんなど寝具全般を取り扱う、1955年創業の寝具専門店「ふじはし」店主。国内外様々なメーカーの寝具を取り扱い、最適なアドバイスと商品提案を行い快眠に顧客を導く。保有資格は寝具指導士(日本寝具寝装品協会)、睡眠環境診断士(日本睡眠環境学会)、睡眠健康指導士(日本睡眠教育機構)。
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マットレス選びに潜む“思わぬ落とし穴”
毎日の睡眠の質を快適なものにするために、欠かせない寝具である「マットレス」。
ニトリや無印良品、西川(nishikawa)、エアウィーヴといった馴染みのある店舗や認知度の高いブランド名でなんとなく選んでしまっていませんか?また、マットレスにはコイルマットレス、ラテックスマットレス、ウレタンマットレスなど種類も多数あり、自分にぴったりのマットレスを選ぶのは難しいものです。合わないマットレスを選んでしまうと肩こりや腰痛など、体の不調をもたらす“思わぬ落とし穴”の原因にもなります。
今回、クラシル比較編集部では創業69年を迎える東京の老舗寝具専門店「ふじはし」の店主である藤橋徹さんへの取材を敢行。めったにメディアに出演しないという眠り・寝具のプロである藤橋さんから伺ったマットレス選びで重要なポイントや快眠の新常識をご紹介。
加えて毎日の睡眠の質を快適にするプロおすすめのマットレスなど、幅広い視点で解説します。
まずは広告やCMなどの宣伝文句に踊らされてしまう消費者の“マットレスあるある”を描いたマンガをご覧ください。
漫画:ミヤギトオル
「マットレスなんて寝られればいいじゃん」は大間違い!
人生において、約3分の1の時間を占めると言われている「睡眠」。
毎日の快適な睡眠を生み出すために重要な寝具が「マットレス」です。もちろん、頭を置く枕も重要なのですが、寝ている際に体の大部分(8〜9割)が接着するマットレスは、睡眠への影響が大きく“もっとも欠かせない寝具”といっても決して過言ではありません。
「マットレスなんて寝られればいいじゃん」というのは大間違いなのです。
広告などの謳い文句を見て、自分に合わないマットレスを選んでしまうと、睡眠で日中の疲れが取れないだけでなく、腰痛やひいてはヘルニアを引き起こす原因にもなるんです。
今回取材を行った寝具専門店「ふじはし」の3代目店主・藤橋徹さん。
良いマットレスで寝るとどんな効果がある?
自分に合ったマットレスで眠ると、体にとってプラスとなる様々な効果が期待できます。
身体のサポート
良いマットレスは寝ている間の身体をしっかりサポートする役割を果たします。正しいサポートがないと、腰や背中に負担がかかり、痛みを引き起こす原因になります。
快適さとリラックス
快適なマットレスは体圧を均等に分散し血液循環を良くすることで、深い眠りに導いてくれます。硬すぎるマットレスは、体圧分散ができず肩やお尻に体圧がかかるため腰痛などの原因になってしまいます。逆に柔らかすぎるマットレスは身体が沈み込んでしまい、寝返りが打てなくなります。自分に合った硬さのマットレスを選ぶことでリラックスした状態で眠りにつくことができます。
高い耐久性と投資価値
良いマットレスは総じて高価格帯のものも多いですが、一定の耐久性があり、長期間にわたって快適な睡眠を提供します。初期投資コストは高く感じるかもしれませんが、長期的にはコストパフォーマンスが合う良いチョイスとなるでしょう。また、マットレスの耐用年数は一般的に8〜10年程度とされており、定期的な交換が快眠環境の維持に重要です。
“良いマットレス”の条件とは?
そもそも、良いマットレスの条件はどういったものなのでしょうか?
ここでは「耐久性」と「支持性」という2つの言葉がキーワードとなります。
まず、「耐久性」はマットレスが長期間にわたってその性能を維持できるか。優れた耐久性を持つマットレスは、長年使用しても形状が崩れず、寝心地が劣化しないことが特徴です。これには、高品質な素材や優れた製造技術が必要です。具体的には、高密度のウレタンフォームやしっかりとしたスプリングシステムが使用されていることが重要です。
続いて「支持性」は、マットレスに体重を預ける身体を下からしっかりと支えてくれる力のことを指します。良いマットレスは、寝ている間に体の自然なカーブをサポートします。これにより、肩や腰など特定の部位に過度な圧力がかかることを防ぎ、快適な睡眠を提供します。理想的な支持性を持つマットレスは、体重を均等に分散させ、寝返りを打ってもすぐに体勢にフィットする柔軟性があります。
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商品情報
サイズ(幅×長さ×厚み)cm:幅120×長さ195×厚み10cm
カバー素材:バンブー35%、ポリエステル65%
中身:天然ラテックス100%
“硬すぎる”マットレスは選んではいけない
「マットレスは弾力がある硬いもののほうがいい」と無意識に思っていませんか?
ビジネスホテルの客室に置いてあるような硬いマットレスは確かに丈夫ですが、“硬すぎる”製品を選んでしまうと体にフィットせず主に肩、腰、お尻など特定の部位に体重が集中して体圧が分散できなくなってしまいます。
これにより、それらの部位に過度な圧力がかかり肩こりや腰痛の原因になってしまうことも。
また、実店舗でマットレスを選ぶ際に手で押し硬さを確認しただけで購入を決める人も多いと思います。しかし、実際に夜眠る際、マットレスに接着するのは手のひらではなく体全体。それなのに手だけで押して購入を決めてしまうのは、「実際に履かずに靴を購入する」のと同じ行為です。
店舗でマットレスを購入する際は必ず横になり体全体で体験しましょう。
体が沈む“柔らかすぎるマットレス”にも要注意
では、「柔らかいほうがいいの?」かというと、柔らかすぎる低反発マットレスにも注意が必要です。
柔らかすぎる低反発マットレスで眠ると、寝ている間に人間の体は沈んでいきその形でマットレスに固定されてしまいます。すると、寝返りが容易にできない状態になってしまうんです。
そもそも、マットレス選びの重要な指標の一つに「寝返りがしやすいこと」があります。
人間は寝ている間に20〜25回の寝返りをするとされています。寝返りは体の姿勢を頻繁に変えることで負担を減らし腰痛などを防ぐ効果があるとされています。
それを柔らかすぎるマットレスで寝返りをしない状態が続くと、体の血行が悪くなり、肩こりや腰痛、冷えの原因となってしまうことがあります。
寝具専門店「ふじはし」店主
【サイズ】1人で寝る場合 でもシングルベッドはNG
名称 | サイズ(cm) |
---|---|
セミシングル | 85×195 |
シングル | 97×195 |
セミダブル | 120×195 |
ダブル | 140×195 |
クイーン | 160×195 |
キング | 180×195 |
さらなる快眠を追求するために、マットレスのサイズにも注目したいところです。選ぶ際のキーワードに「体圧移動」が挙げられます。寝返りのしやすさとも言い換えられるでしょう。
結論から言うと、「1人で寝る場合でもシングルベッドは選ばないほうが良い」と藤橋さんは言います。
その理由はシングルベッドは幅が97 cmと狭く、寝返りが容易にできないから。シングルベッドで寝返りを打とうとすると無意識にお尻を浮かせたり、ベッドからはみ出しそうになる手足を戻したりしています。これらの動作は寝ていても熟睡を妨げているのです。寝返りをスムーズに行うには、より広いスペースが必要となります。
そのため、1人で寝る場合でもセミダブル以上のサイズをおすすめします。カップルや夫婦など2人で寝る場合でもダブルベッドだと一人あたりの幅は約70センチしかなく、快眠には不十分だと考えられるので部屋の広さに余裕があるなら、より大きいサイズにしましょう。
寝具専門店「ふじはし」店主
二人で寝る場合には、クイーンサイズ以上のベッドを選ぶのがおすすめ。クイーンサイズのベッドであれば、各自が快適に寝返りを打つスペースがあり、熟睡を妨げることが少なくなるでしょう。
マットレスの種類と特徴
続いてマットレスの種類をご紹介します。
マットレスにはコイルスプリング(バネ)の上に詰め物を敷いた「コイルマットレス」と、コイルを使用しない「ノンコイルマットレス」に大別されます。
コイルマットレス
「ボンネルコイルマットレス」や「ポケットコイルマットレス」があるコイルマットレスのメリットは耐久性の高さです。製品間の差はありますが、一般的にコイルマットレスの寿命は7〜10年ほどといわれます。
しかしメリットの反面、コイルマットレスには知っておきたいデメリットもあります。コイルを大量に使用するため、厚みも重量も大きくなります。シングルサイズで20kgを超える製品も多いです。特に将来引っ越しの可能性がある方や、2階以上での使用予定の方は搬出入の手間を考慮した上で検討するとよいでしょう。そのほかにも外に干せない点や処分時に粗大ゴミ扱いとなり費用がかかる、そもそも自治体によっては回収してもらえないなど、処分の難しさも検討する上で事前に知っておきたいところです。
ノンコイルマットレス
ノンコイルマットレスはスプリングを使用せず、ウレタンフォームやラテックス、メモリーフォームなどの素材を用いたマットレスです。
ノンコイルマットレスのメリットはまず、表層の素材は体の凹凸にフィットしやすく体圧を均等に分散させてくれる点です。また、コイルがないため動いたり寝返りをうってもきしむ音がしないなどの静音性の高さも魅力です。
デメリットはコイルマットレスと比べて耐久性が弱いという点、高価な製品が多いので初期コストがかかる点です。
プロがおすすめは「ラテックスマットレス」
これまでマットレスといえば、硬くて丈夫な「ポケットコイルマットレス」や「ボンネルコイルマットレス」が主流でした。しかし、環境問題への意識が高まる現代において、ウレタンやファイバーなどの樹脂素材や、ラテックスのような天然素材を使用したノンコイルマットレスが増えています。
中でも、寝具のプロである藤橋さんがもっともおすすめする素材がラテックスマットレスです。
ラテックスは天然ゴムのことで、木を切った際に出てくる白い液体を固めたもの。この素材は、輪ゴムや医療用手袋といったアイテムに多く用いられています。また、マットレスだけでなく、枕にも使われている素材です。
ラテックスマットレスの最大の魅力は、優れた体圧分散効果といえるでしょう。ちょうど良い柔らかさと反発性を兼ね備えており、まるで雲の上で寝ているかのような快適な寝心地を実現してくれます。体重が均等に分散されるため、特定の部位に負担がかかりにくく、腰痛や肩こりの予防にも効果的です。
寝具専門店「ふじはし」店主
ラテックスは天然素材であり、環境に優しい点も評価されています。合成素材と比べて、製造過程での環境負荷が少なく、使用後の廃棄も「土に還る」のが特徴です。このような理由から、環境への配慮を重視するお客様からも支持を集めています。
次点は「ウレタンマットレス」
次におすすめなのは、ウレタンマットレスです。正式名称は「ポリウレタンフォーム」といいます。ウレタン樹脂を発泡させた素材で、弾力性と反発性の高さを特徴とします。
食器洗いに使うスポンジをイメージすると分かりやすいかもしれません。スポンジは軟質ウレタンフォームと呼ばれ、マットレスに使われるのは、軟質と硬質の間の硬さを示す「半硬質ウレタンフォーム」です。
ウレタンマットレスを選ぶにあたって、比重の大きさが重要な指標です。密度とも言い換えられます。1立方メートルの中にどれだけ材料を使っているか、という点に注目しましょう。高密度であるほど耐久性はアップします。ですが、硬さとは直接関係がないことは頭に入れておいてください。
寝心地は基本的には柔らかめなので、横向きで寝る方や凹凸のある女性的な体型の方には、体がほどよく沈みこんで寝やすいでしょう。
寝具専門店「ふじはし」店主
耐久性を保つために各部位がセパレートしローテーションできる製品もあり、おすすめです。
プロが本気でおすすめする「マットレス3選」
それでは、藤橋さんが本気でおすすめする3つのマットレスをご紹介します。
商品情報
サイズ(幅×長さ×厚み)cm:幅120×長さ195×厚み10cm
カバー素材:バンブー35%、ポリエステル65%
中身:天然ラテックス100%
ミルフィは、日本ビラベック社が持つブランドの一つです。本社のドイツビラベック社は100年以上の歴史を持つ老舗寝具メーカーです。ドイツで創立され、日本でも50年以上愛されています。睡眠中の生理現象(体温低下・発汗・寝返り)や寝床内環境を研究し、快適な睡眠を追求。特に、羊毛の吸湿性・発散性を活かした寝具は、ムレを防ぎ、蒸し暑い日本の夏でも快適な睡眠を提供します。
この「ミルフィマットレス」は、天然ゴムの樹液を使用した100%天然素材の逸品です。ラテックスフォームのふっくらとしたやさしい弾力が身体を心地よく支え、体圧を均等に分散。硬すぎず柔らかすぎない絶妙なバランスで、理想的な寝姿勢を保てます。
特に肩や腰など負担のかかる部分をしっかりサポートし、自然な寝返りを助けます。
寝具専門店「ふじはし」店主
1枚の製品を1枚ずつ作り出すモールドタイプ製法の採用で長い期間にわたって安定した寝心地を得られます。
商品情報
サイズ(幅×長さ×厚み)cm:W120×L195×H11cm
カバー素材:綿52%、ポリエステル48%
中身:天然ラテックスフォーム100%
日本に100%ナチュラルヴァージンラテックスフォーム(天然ゴム)を定着させたパイオニアと言っていいブランドがボディドクターです。深い眠りと心地よい目覚めを提供します。厳しい耐久テストやエコラベル基準もクリア。品質と技術にこだわり、一枚一枚丁寧に手作りされています。
「ボディドクター レギュラーマットレス」は、きめ細かく発泡された高品質ラテックスフォームを使用し、体の凹凸にフィットする優れた体圧分散性を誇ります。天然ゴムの自然な沈み込みと押し上げる反発力で、時間が経っても底づきしません。100%天然ラテックスフォームを使用した心地よさを体感できます。
寝具専門店「ふじはし」店主
ラテックスマットレスの草分け的商品です。ラテックスピローやクッション等も充実しています。病院や介護施設などの医療施設で多く採用されている実績があります。
商品情報
サイズ(幅×長さ×厚み)cm:W120×L195×H21cm
カバー素材:消臭素材「フレッシュコール®︎Z」・防ダニ,抗菌,防臭素材「TEIJIN MIGHTYTOP Ⅱ」
中身:ポリウレタン・綿生地・ポケットコイル
「朝起きてから夜寝るまでの人々の生活を豊かにする」ことを目指して、睡眠に関する悩みを解決するために開発された「NELLマットレス」。コイルの線形をミリ単位で調整した程よい硬さと、一般的なマットレスより多いポケットコイルを使用することで寝返りのしやすさを重視。体圧を細かく分散し、快適な寝心地を実現しています。
「NELL マットレス」は、寝返りに特化したコイル配列で、腰痛や肩こりの原因となる体の負担を軽減。ベッドに座ることも考慮して、ふちに硬めのコイルを配置。座りやすく生活に溶け込むデザインが特徴です。これにより、端からへたることなく、長く快適に使用できます。
寝具専門店「ふじはし」店主
NELL マットレスは基本的にはポケットコイルマットレスに分類されますが、体が接着する表面にはウレタンが敷かれているため、寝心地はウレタンマットレスに近いものになっています。
マットレスだけでは快眠は作れない!
おすすめのマットレスを紹介しましたが、快眠を作るためには残念ながらマットレスを揃えるだけでは不十分なんです。
その他の寝具にも目を向けてみましょう。
マットレスと併用して使うべき3つのアイテムについて解説します。
ベッド
マットレスを床にそのまま置いている方も多いかもしれませんが、直置きするのはNG。必ず通気性がよく高さのあるベッドを置きましょう。床に直接置くと湿気がたまりやすく、マットレスが傷んでしまう原因となります。そして、実は湿気は夏より結露が発生する冬のほうが多く、カビが生えてしまう危険が高まります。
寝具専門店「ふじはし」店主
ベッドに置けばOKというわけではなく、片側をめくった状態で立てておき2~3日後にはその反対側をめくっておくと湿気が発生するのが防げます。
枕
睡眠時の“頭の相棒”とも言える「枕」も重要です。藤橋さんによると、日本人には高い枕を好む方が多いといいますが、実は低い枕の方がいいんだそう。
また、横向きで寝る人向けの横だけが高い枕もありますが、あくまで仰向けで寝ることを想定した枕が良いのだそう。
詳しくは以下の枕の記事をご確認ください。
敷きパッド
マットレスの上に敷き、寝ている間じゅう体に直接触れる敷きパッドはかなり重要なアイテムです。
敷きパッドはマットレスと体の間に適切なクッション性を提供し体圧を分散させたり、湿気を解消したりする役割を果たします。
夏は吸湿性の高い麻などの素材、冬は保温性の高い素材を選ぶといいでしょう。また、敷きパッドは定期的に洗濯して、清潔に保ってください。寝汗や皮脂が蓄積されると、寝心地が悪くなる上、衛生面においても問題が生じます。
なかでも敷きパッドは超重要!「羊毛製」がベスト
ベッド、敷きパッド、枕の中で、快眠に大きく影響するのが敷きパッドだと藤橋さんは言います。その中でも最も優れている素材が「羊毛」です。
羊毛は驚異的な吸湿性を持っており、その力は綿の2倍、ポリエステルの37倍とも言われています。吸水性が液体や水分の吸収能力を示すのに対して、吸湿性は空気中にある湿気の吸収能力を指します。
羊毛の繊維構造は、湿気を吸い取って外部に放出する働きをしており、湿度コントロールに長けています。寝汗によるじめじめも解消し、一晩中快適な寝心地を保ってくれるのです。
プロおすすめの敷きパッド
Amazonカスタマーレビュー
Amazonカスタマーレビュー
(1件)
商品情報
サイズ(幅×長さ)cm:シングル(100×200cm)セミダブル(120×200cm)ダブル(140×200cm)クイーン(160×200cm)キング(180×200cm)
カバー素材:綿100% (マコトリコット生地)
中身:毛100%(ロイマリンドウール)
藤橋さんが「特におすすめ!」という商品は、マットレスと同じくドイツのビラベック製のベッドパッド。敷き布団やマットレスの上に重ねて使用する、オールシーズン対応のベッドパッドです。
フランス産の「ロイマリンドウール」を中綿に使用し、通気性に優れた超長綿「マコ・トリコット」を側生地に採用。吸湿性、放湿性、保温性に優れ、ふわふわとした弾力ある寝心地を提供します。ムレ感が少なく、寒がりな方にも最適です。
夏場には、羊毛と同様に優れた吸湿性と通気性を持つ「麻」を使った敷パッドもおすすめです。麻には複数の種類があり、イチオシは「ラミー」。夏に最適な素材で、汗を素早く吸収し、乾きやすい特性があります。麻(ラミー)が持つ自然な清涼効果により、寝苦しい夜も快適に過ごせます。
寝具専門店「ふじはし」店主
軽量でコンパクトに折り畳めるため、収納性にも優れています。
快眠環境を作る「3つの条件」とは?
いい寝具を揃えても睡眠環境を整えなければ快眠することはできません。
このパートでは快眠を生み出す3つの条件をご紹介します。
ひとつも欠けることなく、すべて揃っていることが大切です。
体圧分散
「体圧分散」とは、体が接触する表面にかかる圧力を均等に分散させること。一部分に負担が集中するのを防ぎ、筋肉や関節への圧力を軽減します。繰り返しになりますが、人は一晩のうちに20〜25回も寝返りを打つと言われており、それによって日中で歪んだ骨の歪み、筋肉の疲労を整えています。圧力を一点に集中させないことが大切です。
温度コントロール
睡眠中に適温を保ってくれる調整機能が「温度コントロール」です。季節や気温の変動に対応できる素材と構造で作られており、保温性や通気性といった指標も大切になります。冷暖房で一晩中同じ体温をキープするよりも、睡眠状態に合わせて体温調節できることが快眠にとっては重要です。
湿度コントロール
温度だけでなく「湿度コントロール」といった指標もあります。厚生労働省の調査結果によると、快眠に最適な湿度は50%前後。湿度が高すぎると寝汗をかきやすくなり、蒸れた状態は不快感やカビの原因にもなるのだそう。寝汗を効率的に吸収・発散してくれる寝具を選ぶように心がけましょう。
また、快眠を生み出すためには入眠してからの最初の90分が大事だと言われています。具体的には、通常35〜36度の体温は眠くなると37度近くまで上昇し、入眠後には体の深部体温が32〜33度まで下降します。すると、臓器や脳に休む指令が伝わり、心身ともに疲労回復できるのです。
以上、「体圧分散」「温度コントロール」「湿度コントロール」といった条件が揃ったマットレスや敷き寝具を選ぶと、この状態を作りやすくなり、快眠につながります。人の体温は睡眠中に変化し、寝具はそれを補うものだと考えるといいでしょう。
マットレスのお手入れ方法
購入したマットレスは、ぜひ定期的にお手入れをして清潔に保ちましょう。ダニやカビを防ぐために欠かせない行程といえます。
まず、一番いい方法は「日干し」です。ダニは55度以上で死滅し、明るいところが苦手だと言われています。お日様に2〜3時間当てておくだけでOK。ゴールデンタイムは午前10時から午後1時ぐらいです。
室内で布団乾燥機を使用する場合は温度を60°C以下に設定してください。70°C以上になると、羊毛や羽毛といった自然素材に含まれる動物性蛋白質が破壊され寝具は傷みやすくなります。ウレタンやラテックスマットレスは熱に弱く寿命を縮めますので使用はお勧めしません。
また、昔は日干しの際に布団叩きをする光景をよく見かけましたが、叩くことで繊維が壊れてしまう可能性があるためおすすめできません。まとまっていた繊維を叩いて千切ってしまうことで、より埃が舞う状態に。手でパパッとはたく程度で問題ありません。
マットレスを清潔に保つには、部屋全体をきれいにしておくことが解決策になります。カーテンやカーペットを洗う、こまめに掃除機をかけるなど、ダニが近寄らない環境を作りましょう。
マットレスの処分方法
マットレスを買い替える際について回るのが、これまで使っていたマットレスの処分問題。過去に困った経験のある方も多いのではないでしょうか?
ここでは3つの処分方法を紹介します。
住んでいる自治体の粗大ごみとして出す
マットレスは、多くの自治体で粗大ごみとして扱われています。事前に予約が必要、指定の回収日に出さなければならないなど制約が多いため、もし引っ越しなど移動が伴うときは前もって計画しましょう。処分費用も自治体ごとに異なり、一般的には数千円程度かかることが多いです。事前に自治体のウェブサイトや窓口で確認してください。
コイルマットレスの場合、自分で解体を試みる方もいますがコイルがマットレスから飛び出してケガする可能性があります。プロにお任せしましょう。
寝具専門店に引き取ってもらう
多くの家具やマットレスの専門店では、購入時に古いマットレスの引き取りサービスを提供しています。新しいマットレスを購入する際に、追加料金を払って古いマットレスを引き取ってもらうことができます。専門店によっては、環境に配慮したリサイクルプロセスを行っているところも。
ただし、処分するマットレスは同じ寝具店で買ったものに限るなど、条件があるので注意してください。
フリマアプリやオンライン引取サービスで売る
まだ使える状態のマットレスの場合、「メルカリ」などのフリマアプリや「ジモティー」などのオンラインマーケットプレイスを利用して売ることも一つの方法です。使用感や状態を正直に記載し、写真を添えて出品することで、リサイクルに繋がります。
ただし、マットレスは大きくて送料が高くなるため、購入者が現れにくいデメリットも。配送方法も含めて細かく記載することで、取引がスムーズに進むでしょう。
まとめ
この記事では、寝具のプロに伺ったアドバイスを参考に、マットレスを取り巻く現状やおすすめの素材、メンテナンス、処分の方法など、幅広く解説しました。
こちらを参考に、快適かつ長持ちする最高のマットレスを選んでくださいね。
写真:柴田愛子
硬すぎるマットレスでも柔らかすぎるマットレスでも快適な睡眠はできないので、寝返りの打ちやすいちょうど良い硬さの素材のマットレスを選ぶ必要があります。